仕事を取られたくない心理とデメリット

仕事術

「自分の仕事を誰かに取られたくない」と感じたことはありませんか?

そのような思いは、誰にでもある素直な感情です。

しかし、その気持ちにとらわれすぎると、人間関係がぎくしゃくしたり、仕事の幅が狭まったりするおそれもあります。

本記事では、「仕事を取られたくない」と思う心理の正体や、そこから生まれるデメリットについて、解説していきます。

あなた自身の働き方を見直すヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。

仕事を取られたくない心理とは

仕事を取られたくないと感じてしまう背景には、これまでの経験や職場環境、人間関係などの影響があります。

まずは、そうした心理がどのようにして生まれてくるのかを整理していきましょう。

仕事の主導権を握りたい

「仕事を自分の思い通りに進めたい」と感じ、主導権を手放したくなくなることがあります。

これは、自分の考えで物ごとを動かしたいという欲求が強く働いている状態です。

主導権を握りたいと思う背景には、以下のような気持ちが隠れています。

  • 自分のやり方が一番正しいと感じている
  • 相手に任せると、思うように進まないと感じる
  • 仕事をうまく進めたときに「自分の手柄」にしたい

自分が前に出て動きたい気持ちは大切ですが、その思いが強くなりすぎると、周りとの連携がうまくいかなくなる恐れがあります。

この心理に気づくことが、働き方を見直すきっかけになるかもしれません。

他人に任せるのが不安

自分の仕事を他の人に任せるとき、「うまくやってもらえるだろうか」と心配になる方は多くいます。

この不安は、過去の経験や性格の傾向から生まれている場合があります。

特に以下のような考えがあると、不安を強く感じやすくなります。

  • 他人のやり方に納得できない
  • トラブルが起きないか心配
  • 失敗の責任を負いたくない

任せることへの不安は、「自分を守ろうとする心の反応」であるケースもあります。

自分の立場を守りたい

仕事を取られたくない気持ちの奥には、「今のポジションを守りたい」という思いが隠れていることがあります。

人は誰しも、安心できる場所や立場を維持したいという欲求を持っているため、それを脅かされると強い不安を感じるのです。

この心理が表れやすい場面には、以下のようなものがあります。

  • 周囲に優秀な人が多いとき
  • 職場での役割があいまいなとき
  • 上司からの評価が安定していないとき

こうした状況では、「仕事を取られたら、自分の存在価値がなくなるかもしれない」と感じてしまいやすくなります。

それが、仕事を手放せない気持ちへとつながっていきます。

仕事を取られたくないことによるデメリット

仕事を取られたくないという思いにとらわれすぎると、さまざまな悪影響が出てきます。

ここでは、その気持ちが引き起こすデメリットについて、解説します。

周囲からの信頼が下がる

仕事を取られたくないからといって、すべてを自分だけで進めてしまうと、周囲からの信頼が下がってしまいます

特にチームでの仕事では、互いに協力する姿勢が大切です。

信頼が下がると、以下のような悪影響が出てきます。

  • チーム内での会話が減る
  • 情報共有がうまくいかない
  • 一緒に仕事をしたくないと思われてしまう

信頼は、少しずつ育てるものです。

「この作業、手伝ってもらえますか?」と声をかけるだけで、関係が前向きに変わることもあります。

信じて任せる姿勢が、信頼の第一歩です。

自分の成長チャンスを失う

仕事を取られたくないという心理にとらわれすぎると、自分の学びの幅が狭くなってしまいます

なぜなら、新しいことを任せる側に立たないと、いつまでも同じ作業ばかりを繰り返すことになるからです。

成長の機会を失う具体例は、以下の通りです。

  • 他人のやり方や考え方にふれることが減る
  • 任せることで得られるマネジメントの経験ができない
  • 周囲から新しい仕事を任されにくくなる

自分だけでこなせる範囲には限界があります。

人に任せることで、自分はより大きな仕事や新しいことに挑戦できるようになります。

それこそが本当の成長につながるのです。

ミスを抱え込みやすくなる

仕事を取られたくないと思いすぎると、失敗をひとりで背負うことになりがちです。

相談や確認をせず、すべてを自分で決めてしまうことで、見落としや誤解が生まれやすくなります。

ミスを抱え込むことによる悪影響は、以下の通りです。

  • 小さな失敗が大きな問題につながる
  • 周囲に頼れず、精神的に追い詰められる
  • 自信を失い、さらに仕事が手につかなくなる

「分からないから聞く」「間違いそうだから確認する」といった姿勢は、恥ずかしいことではありません。

チームで働く意味は、助け合える環境を活かすことにあります。

後輩や部下が育たない

自分が全部こなしてしまうと、後輩や部下が学ぶ機会を失ってしまいます

仕事を渡さなければ、相手は経験を積むことができません。

その結果、職場全体の力が伸び悩む原因にもなります。

具体的に起きる問題としては、以下の通りです。

  • 後輩がいつまでも一人で仕事ができない
  • チームとしての力がつかない
  • 周囲から「教えるのが苦手な人」と見られるようになる

人に任せることは、「教えること」でもあります。

相手のために時間を使うことが、職場全体の力を引き上げ、結果として自分も楽になります。

未来の自分のためにも、仕事を任せることは必要です。

リーダーとして評価されにくい

リーダーとは、ただ仕事ができる人ではありません。

周囲に信頼され、全体を動かす力がある人のことを指します。

しかし、「仕事を取られたくない」と感じる人は、どうしても一人で抱え込む傾向があり、リーダーに求められる姿とはずれてしまいます。

評価されにくくなる具体例としては、以下の通りです。

  • 上司から「視野が狭い」と思われてしまう
  • 部下から「怖くて声をかけづらい」と敬遠される
  • 周囲から「一人でやりたがる人」と印象づけられる

本当の評価は、自分の力だけでなく、周囲との関わりの中で育まれます。

「任せる力」はリーダーに不可欠な要素です。

思いきって一歩引くことが、自分の価値を高める結果につながります。

長時間労働の原因になる

仕事を抱え込むと、当然ながら一日の中で処理できる量を超えてしまいます

人に任せるのが苦手な方ほど、無理をして時間外に仕事をこなすようになります。

その結果、以下のような悪影響が起こります。

  • 退勤時間がどんどん遅くなる
  • プライベートの時間がなくなる
  • 体調を崩してしまい、仕事の質も落ちる

自分を守るためにも、適度に人を頼ることが大切です。

「忙しいから手伝って」と素直に言える関係づくりが、仕事とプライベートの両立につながります。

仕事を取られたくない不安の乗り越え方

不安や心配から、つい仕事を抱え込んでしまうこともあるかもしれません。

しかし、少し考え方を変えるだけで、その気持ちをやわらげることができます。

ここでは、気持ちを楽にするための考え方や行動のヒントをご紹介します。

仕事の目的を考え直してみる

仕事を取られたくないという気持ちが強くなったときは、まず「何のためにこの仕事をしているのか」を見つめ直すことが大切です。

目の前の作業に集中しすぎると、本来の目的を忘れてしまうことがあります。

考え直すためのポイントは次のとおりです。

  • この仕事は誰のためのものなのかを考える
  • 自分の評価よりも、成果を届けることを意識する
  • 一時的な不満よりも、長い目で見た働き方を意識する

「この仕事はチームの成果の一部」と捉えられるようになれば、取られることへの不安も和らぎます。

自分の役割を知り、全体の目的に目を向けることが、気持ちを切り替える第一歩になります。

信頼できる人を見つける

いきなり誰にでも仕事を任せるのは難しいかもしれません。

そのため、まずは信頼できる相手に、小さな仕事をお願いするところから始めてみましょう。

「任せても大丈夫」という感覚を体験すると、気持ちに余裕が生まれます。

試しやすいステップは以下のようなものです。

  • 簡単な作業からお願いしてみる
  • 任せた後に「分からないことはある?」と聞いてみる
  • 感謝やねぎらいの言葉を忘れずに伝える

信頼は時間をかけて築いていくものです。

少しずつ任せる習慣ができると、自分の負担も軽くなり、相手との信頼関係も深まります。

「自分だけの仕事」という考えをなくす

「この仕事は自分だけのものだ」と強く思ってしまうと、他の人が関わることに抵抗が生まれます。

しかし、職場では多くの場合、仕事はチームで成し遂げるものです。

役割はあっても、独占するものではありません。

考え方を変えるヒントは、以下の通りです。

  • 「仕事はチームで共有するもの」と言い聞かせる
  • 他人が加わることでより良くなる部分を見つける
  • 自分がいなくても回る仕組みをつくる意識をもつ

「自分だけがやらなければならない」という思い込みを手放すと、気持ちが軽くなり、周囲への信頼や感謝も生まれやすくなります。

職場は競争の場ではなく、助け合いの場でもあることを忘れないようにしましょう。

まとめ:仕事を抱え込まず、任せる勇気を持とう

仕事を取られたくないという気持ちは、誰もが少なからず抱える自然な感情です。

ですが、その思いが強くなりすぎると、多くの悪影響が生まれてしまいます。

この記事で紹介したデメリットは、以下の通りです。

  • 周囲からの信頼が下がる
  • 自分の成長チャンスを失う
  • ミスを抱え込みやすくなる
  • 後輩や部下が育たない
  • リーダーとして評価されにくい
  • 長時間労働の原因になる

大切なのは、「自分だけの成果にこだわりすぎない」という姿勢です。

信頼できる人に任せ、チームで働く喜びを感じられるようになると、仕事に対する見方も自然と変わっていきます。

「仕事を取られたくない」という思いをやわらげることは、あなたの働き方を前向きに変える第一歩です。

ぜひ今日から、「任せる勇気」を持ってみてください。

きっと、新しい可能性が広がっていくはずです。

この記事を書いた人
いさむ

新卒で入社した会社の激務に耐えられず1年半で退社→転職した会社では人間関係に馴染めず2年で退社→二度目の転職で自分に合った会社に出会い、今は楽しく働いています。
社会保険労務士・日商簿記1級の資格を保有。
会社員のお悩みを解決するための方法を発信中です。

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