職場にわざとゆっくり仕事をする人がいて、イライラしたことはありませんか?
「自分は忙しく動いているのに、隣の人はのんびりしている」「注意したくても関係が悪くなるのが嫌で何も言えない」そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、わざとスピードを落としている人には、本人なりの理由があることが少なくありません。
この記事では、そうした人の心理と、状況を変えるための対処法をご紹介します。

冷静に向き合うための工夫を知ることで、職場のストレスを減らすことができます。
わざとゆっくり仕事をする人の心理
わざと仕事をゆっくり進めているように見える人には、何らかの理由があることが多いものです。
まずはその人の行動の裏にある心理を知ることで、冷静に向き合うヒントが見えてきます。
ここでは、わざとゆっくり仕事をする人がどのような気持ちでそうしているのかを、いくつかの視点から考えていきましょう。
仕事を振られたくない
わざとゆっくり仕事をする人の中には、「これ以上仕事を増やされたくない」と思って、あえてペースを落としている人もいます。
これは、過去に多くの仕事を任されてつらい思いをした経験がある人によく見られる傾向です。
- 頑張った分だけ余計な仕事がまわってくる
- 周囲から「頼れる人」と思われてしまう
- 責任が増えてストレスになるのがこわい
このような気持ちがあると、「目立たず、のんびりやる方が楽」と考えるようになります。

本人にとっては自分を守るための行動でも、周りから見ると協力する気がないように映ってしまうこともあります。
残業代を稼ぎたい
「少しでも多く残業代をもらいたい」という気持ちから、あえて仕事のペースを落としている人もいます。
この考えは、収入面に不満を感じている人に見られる傾向です。
- 定時で帰ると給料が足りないと感じている
- 努力しても評価されず、お金だけが働く理由になっている
- 残業をしている人がえらいと思われる風土がある
このような状況にあると、「早く終わらせるより、長く働いたほうが得だ」と考えるようになります。

たとえそれが周りに負担をかけるとわかっていても、生活のためには仕方がないと割り切っている場合もあります。
出世したくない
「出世したくない」という気持ちから、あえて目立たないように行動している人もいます。
一見すると不思議に思えますが、出世を望まない理由は人それぞれです。
- 上の立場になると責任が重くなる
- 人をまとめることが苦手で不安を感じている
- 昇進すると残業や会議が増えると思っている
このような気持ちを抱えていると、「能力がある」と思われるのがむしろ怖くなってしまうことがあります。

その結果、仕事をあえてゆっくり進めて、自分のペースを守ろうとするのです。
わざとゆっくり仕事をする人がいることの問題点
ひとりの働き方が周囲に与える影響は思っている以上に大きなものです。
ここでは、職場に「わざとゆっくり仕事をする人」がいると、どのような問題が起こるのかをご紹介します。
チームの足を引っぱってしまう
ゆっくり仕事をする人がいると、チーム全体の仕事がスムーズに進まなくなってしまいます。
それは、一人の動きが遅いだけで、ほかの人の作業が止まってしまう場面が増えるからです。
- グループで動いている作業の進行がずれる
- 納期が近づいても一人だけ遅れている
- ほかの人がその分をカバーすることになる
こうしたことが続くと、「なぜ自分ばかり大変なのか」と感じる人も増え、職場の雰囲気が悪くなってしまいます。

スピードに差があることで、同じチームで働いている感覚が持ちづらくなり、不満が積もっていくことにもなります。
まじめに働く人の意欲が下がる
まじめに働く人がいる一方で、わざとゆっくり仕事をする人がいると、不公平さを感じてしまいます。
その状況が続くと、まじめな人の心がだんだんと疲れていきます。
- 「どうして自分ばかり頑張らなきゃいけないのか」
- 「真面目にやる人が損をしているようだ」
- 「頑張っても認められない気がする」
このように感じるようになると、やる気を保つのが難しくなり、働く意欲の低下につながります。

まじめに働くことがバカらしく思えてしまい、職場全体に悪い空気が広がる原因にもなりかねません。
わざとゆっくり仕事をする人への対処法
相手の行動にイライラしてしまう前に、まずは落ち着いて対応することが大切です。
ここでは、関係をこじらせないようにしながら進めるための対処法をご紹介します。
迷惑になっていることを伝える
わざとゆっくり仕事をする人に対して、「周りが困っている」と伝えるのは、とても勇気がいります。
ですが、誰かに負担をかけていることに気づいていない場合、それを伝えることで改善のきっかけになることもあります。
伝える際に意識したいポイントは以下のとおりです。
- 「自分はこう感じている」と素直な気持ちで話す
- 「みんなで協力したい」という前向きな思いを込める
- 責めるのではなく、困っていることを伝える
例えば、「最近ちょっと作業の流れが遅れていて、〇〇さんの作業に時間がかかっているように見えます」といった言い方であれば、感情的にならずに事実を伝えることができます。

しっかり聞いてもらうには、落ち着いた気持ちで、丁寧な言い回しを選ぶことが大切です。
仕事の分担を見直す
わざとゆっくり仕事をする人がいると、ほかの人たちに負担がかかってしまいます。
そんな状況では、「誰かが頑張る」のではなく、「分担そのものを見直す」必要があります。
- 作業の量に差がありすぎないようにする
- 苦手なことを無理に押しつけない
- 得意な人が無理のない範囲で手伝える形にする
このような工夫をすることで、チーム全体の流れがスムーズになりやすくなります。
一人だけに頑張らせたり、逆に「やらない人」にイライラするよりも、みんなが少しずつ協力することが大切です。

無理のない分担になれば、不満が減り、職場の雰囲気もよくなる可能性があります。
自分の仕事に集中する
わざとゆっくり仕事をする人が近くにいると、ついイライラしたり、周りの様子ばかりが気になってしまうことがあります。
しかし、そうした相手に気を取られてばかりいると、自分の仕事の手が止まってしまい、かえって損をしてしまうこともあります。
大切なのは、「人は人、自分は自分」と考え、自分の仕事に集中することです。
- 出社したら今日やるべきことを決める
- 1つの作業にかかる時間を決めて取り組む
- 他人の行動ではなく、自分の成果に目を向ける
このように、自分のやるべきことに目を向けることで、周りのスピードに左右されずに仕事が進みやすくなります。
他人を変えるのは難しくても、自分の意識や行動はすぐに見直すことができます。

だからこそ、「自分のペースでしっかりやる」という考え方を大切にしていきましょう。
上司に相談する
自分だけで対応することに限界を感じたときは、信頼できる上司に相談することが大切です。
一人で抱え込んでいると、自分の仕事に支障が出たり、精神的な負担が大きくなってしまうこともあります。
相談するときは、「感情」ではなく「事実」を伝えるように心がけましょう。
- いつ、どんな仕事で遅れがあったのか
- それにより自分や他の人がどう困っているか
- どのような協力が必要か
こうした内容をまとめておくと、上司も状況を正しく理解しやすくなります。

一人でなんとかしようと無理をするより、早めに助けを求めた方が良い方向に進みます。
まとめ:ゆっくり仕事をする人に振り回されないようにしよう
わざとゆっくり仕事をする人が職場にいると、まじめに働いている人にとっては負担やストレスを感じることがあります。
しかし、そうした行動の背景には、「仕事を振られたくない」「残業代を稼ぎたい」「出世したくない」など、さまざまな心理が隠れています。
大切なのは、すぐに責めるのではなく、まずは相手の気持ちを理解しようとする姿勢です。
この記事では、そのうえでできる対処法をご紹介しました。
- 迷惑になっていることを伝える
- 仕事の分担を見直す
- 自分の仕事に集中する
- 上司に相談する
どうしても改善されない場合は、距離を保ちながら、自分の心と働きやすさを守ることも大切です。
さまざまな人がいる職場だからこそ、相手の行動に振り回されすぎず、落ち着いて対応していくことが、よい人間関係と働きやすい環境をつくる第一歩になります。